平安時代、羅生門の下で雨宿りをする下男(上田吉二郎)相手に、旅法師(千秋実)と杣売り(志村喬)が奇妙な話を語り始める。京の都で悪名高き盗賊多襄丸(三船敏郎)が山中で侍夫婦の妻(京マチ子)を襲い、夫(森雅之)を殺害したという。だが、検非違使による調査が始まると、盗賊と妻の証言はまったく異なっており……。

学校で「めんこい仔馬」という歌を習ったまる子は、それを図工の時間の絵のテーマにするがどのように描いたらいいか分からなかった。ある日、静岡の祖母の家近くで似顔絵描きのお姉さんに出会い、「めんこい仔馬」は、実は戦争で馬と少年が別れなければならない悲しい歌なのだと3番の歌詞まで教えてもらう。まる子は少年の気持ち、いつまでも忘れないよという心を描く。

封建時代の日本、一族間の血なまぐさい抗争の最中、敗軍の兵士である臆病で強欲な2人の農民が、山中に隠された要塞に案内してくれる謎の男に出くわす。

下町の片隅で暮らす短気ですぐカッとなる三上は、強面の見た目に反して、優しくて真っ直ぐすぎる性格の男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で暮らした元殺人犯だった--。一度社会のレールを外れるも何とか再生したいと悪戦苦闘する三上に、若手テレビマンがすり寄り、ネタにしようと目論むが...。三上の過去と今を追ううちに、逆に思いもよらないものを目撃していく--。

南北戦争時代のアメリカ。北軍の士官として参軍したネイサン・オールグレン大尉は南軍やインディアンと戦いの中、無関係のインディアン部族を攻撃し、子供たちを撃ち、良心の呵責に悩まされ酒浸りになる。日本の実業家の大村はバグリー大佐を介し軍隊の教授職として雇いに来ていた。当時の日本は明治維新で近代国家建設のために急速な近代的軍備増強が必要だった。多額の報酬に魅せられたオールグレンは、僚友ガントとともに日本に渡り、軍隊訓練を指揮する。

1950年代のロンドン。唯一無二のデザインと職人技術で、英国の高級婦人ファッション界の中心に君臨する仕立て屋のレイノルズ。彼は郊外にある「ハウス・オブ・ウッドコック」で姉のシリルと共に、毎日完璧に仕事をこなしていた。ある日、レイノルズは立ち寄ったレストランで、若きウェイトレス アルマと出会う。会った瞬間に一目惚れをして、彼女を新たなミューズに迎えることになる。アルマの体に触れ、採寸をしていくレイノルズは、とても美しいと彼女の“完璧な身体”を愛した。しかし、若く情熱的なアルマの出現により、完璧で規律的だったレイノルズの日常は思わぬ方向へと進んでいく。

1968年、五月革命に揺れるパリ。アメリカ人留学生マシューは、映画フリークの学生たちによるデモの最中に魅惑的な双子の姉弟イザベルとテオに出会い、急速に親密になっていく...。

昭和初期の信州第二刑務所。そこに、拘置所を2度も脱走したいわくつきの囚人、鈴木雅之が移送されてくる。簡単には脱獄できないはずの信州第二刑務所を、鈴木は1時間もたたないうちに脱獄。その後、刑務所近くの線路沿いで身柄を取り押さえられた鈴木だったが、看守長の金村はそんな彼に興味を持ち始める。

武州多摩の百姓の出である土方歳三。黒船が来航し開国を要求した江戸時代末期に、彼は“武士になりたい”という思いを胸に、近藤勇、沖田総司らと京都へ向かう。彼らは徳川幕府の後ろ盾のもと、新選組を結成し、土方は討幕派勢力制圧で多大なる活躍をみせる。

柔道で鍛えた力を買われて、北海道警察の刑事になった諸星要一。裏社会に入り込んでS(スパイ)をつくれという、敏腕刑事・村井の助言に従い、Sを率いて「正義の味方、悪を絶つ」の信念のもと規格外の捜査に乗り出す。こうして危険な捜査を続けていった諸星だった。

本家トキ屋拘蛟龍堂(こうりゅうどう)と元祖トキ屋拘蛟龍堂は長年いがみ合ってきた歴史を持つ薬問屋。万右衛門(まんえもん)が一代で起こした薬問屋で越歴丸(えれきがん)という薬を開発、万右衛門が病に倒れた後は2人の愛弟子に調合法を伝授。愛弟子は犬猿の仲だったため憎み合った末に本家と元祖という2つのトキ屋拘蛟龍堂が生まれてしまった。ある日、ついに事件が起きる。本家の長男喜一郎(遠藤要)が元祖の若旦那、丸部長彦(忍成修吾)のもとに殴り込みもみ合いの末、長彦に劇薬をかけて失踪してしまうという事件が起きる。 2年後。東京、下町。金田一耕助(山下智久)は事件を1つ解決し新聞にも初めて取り上げられたものの、家賃も滞らせてしまうほどまだまだ駆け出しの探偵。そんな、金田一のもとに依頼が舞い込み、早速依頼者の元に走る。場所は大阪。向かったのは本家トキ屋拘蛟龍堂。依頼者はトキ屋拘蛟龍堂の長女で喜一郎の妹、初恵(武井咲)だった。その美しさに息をのむ金田一。初恵は最近何者かに尾行されているという。が、まだこの時はこの先に待ち受けている世にも残忍かつ冷酷、そして巧妙なトリックの上にトリックが潜む事件だとは金田一も知るよしもなかったのだった…。そのころ新聞で金田一が偶然現場にいたことにより、事件解決という記事を読んでいる明智小五郎(伊藤英明)の姿が。金田一に興味を持った明智は、早速金田一の元を、身分を隠して訪れるのだった。 【原作】芦辺拓『明智小五郎対金田一耕助』(原書房)