女学生のヴァランティーヌが知り合った初老の元判事には、他人の電話を盗聴するという悪習があった。彼女はそれをやめさせようと、男の過去を探っていくが……。
『魔人ドラキュラ』でもベラ・ルゴシと組んだトッド・ブラウニング監督が、サーカスを舞台に裏切りと報復の世界を描いた1932年のホラーである。オルガ・バクラノヴァ演じる邪心のある空中ブランコ乗りの女性が、財産を目当てにサーカスの見世物である小人と結婚する。だがそれが、同じように「変わった」姿をしたサーカスの仲間たちに知られ、復讐される。
アッテンボロー監督による、喜劇王チャーリー・チャップリンの生涯を描いた作品。映画は、チャップリンが幼少の頃から、名門カルノー一座の看板俳優時代、そしてハリウッドでの映画製作、富と名声を得、やがて映画「チャップリンの独裁者」の製作に纏わる国外追放、終戦後のアメリカへの帰国から白髪のはえるまで、彼の一生を克明に追って行きながら、その中での孤独、悲しみ、苦しみ、さらには母、兄弟、恋人などの彼に関わる人物をも含み、チャップリンの人生の軌跡を描いてゆく。
20世紀初頭のアフリカを舞台に、愛と冒険に生きたひとりの女の半生を描いた一大ロマンス。スウェーデン貴族と結婚し、ケニアに渡って来たデンマーク人の令嬢カレン。だがそこには幸せな結婚生活は無く、農場経営も思うように進まない。そんな彼女の前にサファリのガイドを務めている冒険家が現れた……。アカデミー賞7部門受賞。
UCLAの学生で詩の才能を高く買われていたジム・モリソン。ロックバンド・ドアーズを結成すると「ハートに火をつけて」が大ヒット。やがてカリスマ的な存在となるも、パフォーマンスがわいせつと非難されるように。恋人のパメラはそんな彼の奇行を心配し…。
19世紀後半のNY社交界を舞台に繰り広げられる、貴族階級からはみ出た伯爵夫人と、その幼なじみの弁護士の静かな恋愛を描く。イーディス・ウォートンの原作に基づいたM・スコセッシによる、“斜陽”の物語。オペラ観賞に訪れた弁護士のニューランドは、幼なじみの伯爵夫人エレンに再会する。彼女には離婚を認めようとしない夫がいて、彼にも婚約者がいた。そんな状況の中で、奔放な彼女に心惹かれていくニューランド。しかし、上流階級の掟は二人を許そうとはしなかった……。アカデミー衣装デザイン賞を受賞した絢爛豪華な舞台の中で、D・D=ルイス、M・ファイファー、W・ライダーなど、魅力的な顔合わせで描かれる禁じられた大人の愛を、スコセッシは切なく、感動的に再現。抑圧された世界でこそ生じる葛藤と胸の高なりを与えてくれる。
名門のカーバー高校では、生徒会長選挙に学園一の優等生が立候補した。彼女に学校を牛耳られることを恐れた顧問教師は、成績は良くないが人気のあるアメフト部員を立候補させるが……!? ブラックな笑いが渦巻く傑作学園コメディ。
「ライトスタッフ」で一躍有名になったP・カウフマンが68年のチェコ動乱、いわゆる“プラハの春”を題材にして描いた超大作。若者の間に芽生えた民主化要求の波がソ連軍の軍事介入で圧殺されていく中、プレイボーイの医師と二人の女の青春が鮮烈に描かれる。古いニュース・フィルムと本編の画調を完璧に合わせるという離れ技を、ベルイマン作品で鳴らした名カメラマン、スヴェン・ニクヴィストが見事にやってのけている。
ニューヨークでコラムニストをしているグエン・カミングスはお酒が大好きで陽気な女性。恋人のジャスパーと馬鹿をやっては仲間達と酔って騒いで過ごしていた。しかし彼女には母親がアル中で亡くなり親戚に預けられて育ったつらい過去があり、彼女自身もアルコールと鎮痛剤の依存症。彼女は、周りの迷惑など顧みず、ただその時が楽しければ良かったのだ。ところが、グエンの唯一の家族である姉リリーの結婚式に泥酔して参加し、式を台無しにした挙げ句、新婚旅行用のリムジンを奪って民家に突っ込んでしまう。更生施設で28日間のリハビリを行うこととなったグエンは、ジャスパーからこっそり受け取った鎮痛剤を捨てて禁酒を誓うが、すぐに禁断症状に苦しむこととなる。錯乱した彼女は一度裏庭に捨てた鎮痛剤を取ろうとして二階の窓から落ちてしまう…。